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永遠の予感か現実逃避か

 投稿者:南山鳥27  投稿日:2017年12月19日(火)09時57分42秒
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ロバート・ネイサンという作家がいる。いまはどうなっているのか
知らないが、第一次大戦後、1930年頃から1950年頃まで活躍した作
家で、『ジェニーの肖像』という、ある意味で超現実的なファンタ
ジーの中編を書いている。

昨日、何十年ぶりかで、この作品を再読し終わったが、短い作品で
あるが、考えることが多かった。記憶にある物語とかなり違ってい
たように思ったが、おそらく印象深い部分が記憶に残っていたのだ
と思う。

後半最後の三分の二ぐらいは、特に何か激しい出来事の変化が起こ
るわけではなく、季節の移り変わりに伴う、一種の細密な情景描写
で、話がたんたんと進んで行く。こういう進行部分を、すっかり忘
却していた。

昨日に読み終えてみて思うのは、この淡々として、しかし自然描写
や情景描写で密度のある記述が、作品世界のリアリズムを構成して
いると共に、超現実的ファンタジー世界を支えているのだとも思っ
た。

近年というか、ここ十年、二十年のライトノベルなどの台頭は、超
自然的世界や異次元などが、あたかも日常的にそこにあるかのよう
に、簡単に出現するというか、この現実とほとんど連続して、異次
元世界とかファンタジー世界が現出するが、どうも、これは、「現
在という時代の現実逃避世界」のようにもふと思える。

『ジェニーの肖像』の後半三分の二ぐらいを占めている、季節感と
自然感豊かな情景描写的な記述は、むしろ望ましく思えた。わたし
にこういう描写が書けるかというと、かなり準備すれば書けると思
うが、難しいとも思う。しかし、これを読んで、物語の展開で、ゆ
るやかな情景描写は、世界の姿を描くにおいて、重要な意味を持つ
ようにも思えた。

ネイサンというのは、アメリカ人作家だとも感じた。フォークナー
を先に言及したが、レイ・ブラッドベリのファンタジー世界という
のは、アメリカ文学の伝統の上にあるわけで、わたし自身はブラッ
ドベリに、それほどの重さを感じない。というのは、ブラッドベリ
の世界の背景に、アメリカ文学のファンタジーあるいはリアリズム
と現実逃避の文学伝統が反映しているように思えるからである。

ブラッドベリを礼賛している人がいたように思うが、文学的な世界
の広がりのなかでブラッドベリを見るのではなく、自己に引き寄せ
て見るため、視野が狭窄しているような印象もある。

ファンタジーや幻想の世界は、もっと深い世界認識や実存了解の位
相を持っている。そういったことは、どのように多くの人々は考え
ているのだろうか。

服部誕の詩集を読んで、非常に感銘を受けたというか、考えさせら
れることがあった。作者に謹呈御礼の言葉も述べていないが、何か
の評論文で取り上げようと思っている。人の心の奥深さというのは
分からない。分からないが故に、奥深い印象があるのかも知れない。

他の人の心が何であるのか、それは、どこかで記録されているであ
ろう。深さの質が異なるのだとも思えるが、分からないとも言える。
わたし自身は、ファンタジーというのか、現実のなかにある、超現
実的な幻想の真実を描写を通じて描くことができればとも思う。

_ mrd

 
 
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